イギリスのイングランド西部にある人口約9万人の都市バース(Bath)。
イギリス有数の観光地で1987年に中心部一帯がユネスコ世界遺産に登録されました。映画『テルマエ・ロマエ』で描かれる時代にローマの支配下で温泉の街として発展したため今日でもローマ時代の遺跡が多数残っています。
今回、体験してきた模様を紹介するバースのウォーキングロード「Bath Skyline Walk」は、歴史的な都市バースの街全体を囲むように張り巡らされている約10kmのフットパスです。
自然と歴史が融合したこの道はウォーキングロードとして地元住民からも観光客からも人気があります。
▼トレイルとの違いはこちらで解説
Bath Skyline Walkの概要
Bath Skyline Walkは世界最大の自然保護団体National Trustが管理運営するウォーキングコースです。コースはいくつかありますが最も人気のあるコースは約6マイル(約10km)です。高低差は少なく、運動不足の私もお昼休憩をはさみつつ約4時間で歩けました。
見どころは箇所箇所にある歴史的遺産です。
18世紀の競馬場とされるBushey Norwood、同じくNational Trustが管理運営するPrior Park Landscape Gardenなどがあります。
Prior Parkは、もともとは上流階級の家の庭として作られたもので、公園内にはバースの建築を代表する橋が架かっています。
池の周りに遊歩道が整備されており、一周約30分で歩くことができます。また、自然豊かな環境で水鳥が触れられる距離に生息していのも魅力の一つです。
入り口でパンフレットを入手してウォーキングスタート
Bath Skyline Walkの出発地点は複数ありますが、そのすべてに写真のようにパンフレットが設置されています。パンフレットにはコース概要や見どころ、休憩場所の紹介などが載っているので手に入れてからウォーキングを始めましょう。
Bath Skyline Walkのようなウォーキングコースは観光客だけでなく、地元住民も日曜午後の散歩の時間などに歩く場所として親しまれています。私が歩いた時も犬の散歩中の人、家族で散策している人などに会いました。それもありパンフレットを含めコースは常に清潔できれいな状態に維持されています。
Bath Skyline Walkの見どころはBathを一望できる景観
Bath Skyline Walkの特徴は世界遺産に登録されているBath市街を一望できる景観です。市街地を囲むようにコースが設定されているので、展望スポットがいくつもありBath市街の景観が見られます。
イギリスの散歩道事情-Foot Pathを歩くときのポイント-
イギリスにはフットパス(Foot Path)と呼ばれる歩行者専用の道があります。
国内での総延長22.5万km。 私有地、牧場、森林、田園地帯、海岸線、市街地など全土に網の目のように道が張り巡らされたこの道をBath Skyline Walkでも歩きます。
そのため道は舗装されておらず、写真のようなところをずっと歩きます。舗装された道よりも抵抗が少なく疲れにくいですが、湿った場所では靴が汚れたりもするので歩きやすく汚れてもいい靴で行くのがおすすめです。
10kmのなかで移り変わる景色が魅力
全長10kmとそこそこ長いBath Skyline Walkは、歩く中で景観がどんどん移り変わるのが魅力的なポイント。この写真は牧場の脇の道です。紅葉の時期に歩いたので、牧場の緑と紅葉した木々のコントラストがとても美しいですよね。
私が歩いたコースの終盤は写真のようにうっそうとした森の中を歩きました。
このあたりは傾斜がきついところがあり、足元も不安定だったので一緒に歩いた数人のうち70歳手前の方は少し苦労していました。
フットパスあるあるですが、道の脇に写真のように動物がいる光景がよくみられます。イギリスではヒツジは宝のような存在で国民に古くから愛されてきました。 ブリティッシュウールの商品もあり、イギリスと羊は深い関係があるのです。
コースの途中には何か所か休憩スポットがある
長い散歩道には、休憩場所が設置されていることがあります。Bath Skyline Walkの場合はNational Trustが運営するコンテナの休憩スペースが何か所かあり、飲み物が買えたり各種パンフレットを入手できたりします。
動物も歩いた面影
コースの途中には写真のように動物用の水飲み場がいくつかあります。この水飲み場は水が少し汚れており現在使われているのかは不明ですが、散歩道によっては犬の糞を始末するための袋を入手できたり、犬用の水飲み場があったりもします。イギリスの散歩道はアニマルフレンドリーですね。
コース上にはいくつか楽しい難所も
既にある地域資源を活かして張り巡らされたフットパス。いろんな場所で散歩できるように施された工夫を見ることができます。写真の方は、一体何をしているのでしょうか。
正解はこちら。古くから使われている石垣の一部の石が、足の踏み場になるように出っ張ったものに変えられています。
「ここ!?」と思うかもしれませんが、このように既存の地域資源を活かして散歩道にする工夫は多々あります。はしごをかけたり石垣を壊したりするのではなく、石垣をそのまま利用している点にNational Trustの地域資源保護の精神を感じますね。
最後に
約4時間かけて歩いたのち、最後に出てきたのがこの展望スポット。
市街地の向こうに見える緑の部分を歩いて1周しここまでやってきました。私が歩いたのは11月でしたが、イギリスは冬に近づくにつれて日の入りの時間がどんどん早くなるので、15時過ぎの時点ですでに少し暗くなってきています。
今回はBathの市街地周辺を歩くコースを紹介しましたが、Bathは世界遺産に登録された街中を歩くコースも魅力的です。ぜひあわせて歩いてみてください。
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