お正月の恒例行事として多くの人が楽しみにしている「箱根駅伝」。
今では全国高校駅伝や大学女子駅伝など、数多くの駅伝大会が行われています。ところで、この「駅伝」という言葉にはどのような由来があるのでしょうか?実は、古代日本の交通制度「駅制(えきせい)」と深いつながりがあります。
この記事では、駅伝の成り立ちや歴史についてわかりやすく解説します。
「駅伝」という言葉の由来
「駅伝(えきでん)」は、「駅」と「伝」から成る言葉です。
- 「駅」= 駅家(うまや)。古代の官道に設けられた人馬交代の施設。
- 「伝」= 人や物、情報を次々と伝えていくこと。
つまり「駅伝」とは、本来「駅家でリレーしながら伝える」仕組みを意味していました。古代の駅制が、駅伝という言葉の源流なのです。
古代の駅制とリレー方式
7世紀後半、律令国家が成立すると、都と地方をつなぐ「官道」が整備されました。
この道には16kmごとに「駅家」が設置され、役人はそこに置かれた馬(伝馬)を使って移動しました。駅ごとに馬や人を交代させるリレー方式で、都から遠方へも素早く命令を届けることができました。
この仕組みが、のちにスポーツ競技の「駅伝」に重ねられていきます。
近代における「駅伝」の誕生
現在のような「駅伝競走」が初めて行われたのは、大正時代です。
- 1917年(大正6年) 東京奠都50周年を記念して「東海道五十三次駅伝競走」が開催されました。
- 京都の三条大橋から東京の上野不忍池まで約508kmを、学生ランナーが3日間かけてリレー形式で走り抜けました。
この大会で「駅伝競走」という名前が初めて使われ、以降、日本独自の長距離リレー競技として定着しました。
箱根駅伝のスタート

1917年の「東海道駅伝競走」の成功を受けて、翌1920年(大正9年)に始まったのが「東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)」です。
- 大学対抗の長距離リレー
- 東京大手町と箱根・芦ノ湖を往復する約200kmのコース
これが現在の「箱根駅伝」の原型であり、100年以上にわたり正月の風物詩となっています。
駅伝の広がり
その後、駅伝は全国各地に広がりました。
- 全国高校駅伝(京都開催)
- 全日本大学女子駅伝(仙台開催)
- 実業団駅伝(ニューイヤー駅伝 など)
今では、日本の冬を彩るスポーツイベントとして多くの人々に親しまれています。
まとめ
「駅伝」という言葉のルーツは、古代日本の交通制度「駅制」にあります。
駅家で人や馬を交代しながらリレー方式で情報を伝えた仕組みが、現代のスポーツ「駅伝競走」の名前に引き継がれました。古代から近代、そして現代まで続く「駅伝」の歴史を知ると、お正月の箱根駅伝もまた違った視点で楽しめるかもしれません。