豊かな森と水に恵まれ、国土の75%を山地が占める日本列島。古くから険しい地形を克服するための山岳鉄道が各地で開通し、そこに暮らす人々の生活を支えています。
今回は箱根峠初探訪の道すがら、1度は乗っておきたい「箱根登山電車」で春のおとずれを感じてまいりました。
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最急勾配80‰!箱根登山電車とは?
「箱根登山電車」とは(株)小田急箱根が運営する日本有数の本格的な山岳鉄道。
元来、箱根登山鉄道・箱根登山線とも呼ばれ、小田原を起点に箱根湯本〜強羅に至る比較的短い路線です。
小田原〜箱根湯本間は小田急線の通勤用車両と特急ロマンスカーが運行しており、箱根湯本〜強羅間は少々小ぶりの赤い電車で運行されています。
箱根登山電車は日本初の山岳鉄道として1919年に箱根湯本〜強羅間、1935年に小田原〜箱根湯本間がそれぞれ開業。長年小田原駅を発着していましたが、1950年より小田急線の車両が箱根湯本まで乗り入れを開始。
小田急線と登山電車はレールの規格(幅)が違うため、「三線軌条」と呼ばれる、3本の線路を敷設して長らく共存していました。しかし増加する観光客の対応や輸送サービス向上のため2006年3月で登山電車の小田原発着は廃止となり、現在のように箱根湯本を境に運行系統を分けるスタイルが確立されました。
箱根登山電車の車庫は小田原〜箱根湯本の間(入生田)にあるので、入生田〜箱根湯本間は今も三線軌条のレールを見ることができます。
箱根登山電車はその名の通り、路線の殆どが急勾配。
高低差527m、最大80‰(パーミル)の坂道を車輪とレールの摩擦力だけで登り降り!
粘着式といういわゆる普通の鉄道としては日本一の傾斜角を誇ります。
山岳専用仕様の電車、スイッチバックや半径30mの急カーブを用いるなど険しい山間部を安全に走破するための様々な工夫が随所に見られます。
沿線では職員が育てあげたあじさいが毎年見頃を迎え「箱根あじさい電車」として親しまれており、ライトアップも行われているそうです。
2007年には全線が土木遺産に、橋やトンネル等の構造物は近代化遺産に登録されています。
箱根湯本駅から強羅駅へ!
箱根登山電車の始発はここ、箱根湯本駅の3・4番線から発車します。
曜日に関わらず9時〜16時台は1時間に4本発着。平日でしたが乗客の殆どは外国人観光客で、筆者の周りには日本人は一人もいないほど。箱根がいかに世界の「HAKONE」であるか実感しました。
箱根登山電車のスイッチバックを体感しよう!
箱根登山電車の見どころといえばやはりスイッチバックです。
スイッチバックとは電車が一旦行き止まりまで進んだのち、進行方向を逆にしてジグザクに進行する線路形状のことを指します。こうすることで勾配のきつい山の斜面を緩やかなコースで登ることができるのです。
箱根登山電車では塔ノ沢〜大平台、大平台〜宮ノ下間で3箇所、スイッチバックを行う信号場が設置されています。
箱根登山電車は単線区間のため、スイッチバック区間にさしかかると対向列車とのすれ違いを行います。信号場付近では折り返し先の傾斜に目を奪われました。先頭車両と最後尾で運転士と車掌が都度入れ替わる光景もここ、ならでは。
世界遺産「レーティッシュ鉄道」とは姉妹鉄道
1979年以来、箱根登山電車はスイスの山岳鉄道「レーティッシュ鉄道」と姉妹鉄道協定を締結しています。箱根登山電車のスイッチバックはこのレーティッシュ鉄道ベルニナ線を視察した日本人技師半田貢さんが日本に持ち帰り、設計したものだそう。
以来、自社の車両に相手の鉄道社名や国旗などをデザインしたり、職員同士での国際交流を行う機会を設けるなど山岳鉄道の発展に寄与する活動を行っています。
箱根登山電車の終点「強羅駅」へ
箱根湯本を出発して40分、いよいよ終点強羅駅に到着します。
狭いトンネルや山肌を登り、ようやく見えてきた強羅の町並みが見えてくるとどこか安心感を覚えました。
名物「とうふかつ煮定食」を食べよう
強羅駅より徒歩3分にある老舗の人気店、田むら銀かつ亭の名物「とうふかつ煮定食」をいただきました。
旨味凝縮!な挽肉を豆腐でサンドして揚げてあり、ぐつぐつと煮立った状態で届きます。
お昼時は常時お客さんがひっきりなし!店の外にも行列ができていました。店内は思いの外広いので長時間待つことはなさそうです。
予約受付サイト「EPARK」を導入されていたのでお店を一度離れてもスマホで順番を確認することができ、キャッシュレス決済も対応。熱々ホカホカの定食で満腹になりました。
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