教養として覚えておきたい、暗記していて損はない名作古典をご紹介します!
今回は平安時代〜鎌倉時代に絞ってみましたが、江戸時代の名作・『おくのほそ道』や『更科紀行』などについては下の記事もおすすめ!
竹取物語|日本最古のSF小説
今は昔、竹取翁という者ありけり。
から始まる名作中の名作『竹取物語(たけとりものがたり)』。
平安前期に発表され、日本最古の物語(SF小説)と言われています。
月からやってきたかぐや姫の成長と、恋物語を描いた作品です。
竹取物語
時代:平安前期
作者:不詳
ジャンル:小説
土佐日記|日本最古級の日記文学
「男もすなる日記といふものを」から始まる、紀貫之(きのつらゆき)の『土佐日記(とさにっき)』。
紀貫之は『古今和歌集』の撰者としても知られた人物です。
『土佐日記』と紀貫之の特徴は「かな文字文化成立への貢献」。
それまで「漢字は男性のもの、かな文字は女性のもの」と区切られていたところ、あえて女性のフリをし、かな文字を使って日記をしたためています。
土佐日記
時代:平安前期〜中期
作者:紀貫之
ジャンル:日記文学
伊勢物語|実在の歌人「在原業平」主人公の恋物語
「昔、男(ありけり)・・」から始まる『伊勢物語(いせものがたり)』。
主人公の名前はありませんが、平安初期に実在した歌人「在原業平(ありわらのなりひら)」がモデルだとされています。彼はプレイボーイとしても知られており、『源氏物語』のモデルのひとりではないかとも言われているんですよ。
『伊勢物語』では在原業平の歌集『業平集』や『古今和歌集』などの和歌を引用しながら、彼の初冠(元服)から臨終までの生涯や恋物語を描いています。
伊勢物語
時代:平安前期
作者:不詳
ジャンル:歌物語
源氏物語|名作恋愛小説!
『源氏物語(げんじものがたり)』は歌人・作家の紫式部(むらさきしきぶ)による長編小説です。
源氏物語の主人公は架空の人物「光源氏」とその息子「薫」。恋多き男性たちで、物語では様々な女性との恋模様が描かれています。
光源氏の父の後妻であり、初恋の人でもある「桐壺(きりつぼ)」や2番目の妻である「紫上」など、それぞれの章で魅力的な女性たちが登場するのが特徴。
全54帖の超大作です。
源氏物語(げんじものがたり)
時代:平安中期
作者:紫式部
ジャンル:恋愛小説
蜻蛉日記|高貴な夫の浮気を嘆く日記文学
「かくありし時過ぎて、」から始まる『蜻蛉日記(かげろうにっき)』。
美しく和歌の才能もあった筆者の藤原道綱母(ふじわらのみちつなのはは)が、高貴な男性(藤原兼家)に嫁いだ後の生活や苦悩などを綴った日記文学。
蜻蛉(かげろう)とは儚い結婚生活を意味し、日記の後半では夫の心移りや浮気を嘆くような場面もしばしば。
蜻蛉日記(かげろうにっき)
時代:平安中期
作者:藤原道綱母(ふじわらのみちつなのはは)
ジャンル:日記文学
更級日記|少女時代を振り返った日記文学
『更級日記(さらしなにっき)』は『蜻蛉日記』と同時期に発表された日記文学。混同しがちですが、内容は随分と異なるので覚えておきましょう。
作者の菅原孝標女(すがわらたかすえのむすめ)が50代の時に少女時代を振り返りつつ、自分の半生を描いた作品です。
冒頭では父親の任期終了で上総国(現千葉県)から都に帰国すること、『源氏物語』が大好きだったことなどが書かれています。
更級日記
時代:平安中期
作者:菅原孝標女(すがわらたかすえのむすめ)
ジャンル:日記文学
枕草子|日本三大随筆(エッセイ)
「春はあけぼの・・」の冒頭文があまりにも有名な、清少納言(せいしょうなごん)の『枕草子(まくらのそうし)』。
鴨長明『方丈記』、吉田兼好『徒然草』と並んで日本三大随筆に数えられています。
『枕草子』は、清少納言が「藤原定子(ふじわらのさだこ/ていし/中宮定子)」の女房として生活していた数年間の様子をまとめた作品です。
また作品の中では「をかし」という言葉が多用されており、冒頭のように趣深いものを集めているのも特徴。
枕草子(まくららのそうし)
時代:平安中期
作者:清少納言(せいしょうなごん)
ジャンル:随筆
平家物語|平家の栄光と滅亡を描いた軍記物語
『平家物語(へいけものがたり)』は平清盛(たいらのきよもり)をはじめとする平家が栄光を極め、そして没落していく様子を描いた軍記物語です。
作者は不詳ですが、琵琶法師という盲目の琵琶師によって語り継がれてきた特徴があります。
教科書や受験でよく見るのは「平敦盛の最期」や「扇の的」あたりでしょうか。
冒頭文にもある通り、「諸行無常」や「盛者必衰」がテーマではありつつ、平家の美しい最期を描いた悲しい物語でもあります。
平家物語(へいけものがたり)
時代:鎌倉時代
作者:不詳
ジャンル:軍記物語(史実を基にした物語)
方丈記|日本最古の災害文学
『方丈記(ほうじょうき)』は鴨長明(かものちょうめい)による随筆。
鴨長明はほかにも『無名抄』『発心集』などを執筆しています。
鴨長明は京都の下鴨神社の次男として生まれましたが、父の急死により神官の道を絶たれ、出家します。
方丈とはお寺にある小さな部屋のことで、世捨て人の住む場所といった意味合いもあります。鴨長明の絶望や無常感を表していると考えられます。
また『方丈記』は日本最古の災害文学とも呼ばれており、安元の大火・治承の辻風・福原遷都・養和の飢饉(ききん)・元暦(げんりゃく)の大地震(おおない)という5つの厄災について鮮明に記しているのです。
方丈記(ほうじょうき)
時代:鎌倉初期
作者:鴨長明(かものちょうめい)
ジャンル:随筆
徒然草|世捨て人の無常感を描いた随筆
『徒然草(つれづれぐさ)』は鎌倉時代末期に成立した吉田兼好による随筆です。
吉田兼好(よしだけんこう/かねよし)は本名を卜部兼好(うらべのかねよし)といい、父は京都の吉田神社の神職でした。
中流貴族として後二条天皇(ごにじょうてんのう)に仕えましたが出世コースを外れ、30歳前後で出家しています。
『徒然草』を執筆したのがいつ頃かは分かっていませんが、キーワードは仏教の思想である「無常」。
ちなみに清少納言の『枕草子』を愛読していたそうです。
徒然草(つれづれぐさ)
時代:鎌倉末期
作者:吉田兼好(よしだけんこう/かねよし)
ジャンル:随筆
古典の名作読むべき10作品
高校生も読みたい古典の名作10選を紹介しました。
特に受験で頻出する、ストーリーや作者を覚えておきたい作品をピックアップしています。
また画像にもした冒頭を覚えておくとさらに作品への理解度が高まるかもしれません。
▼古典文化のノミチ記事はこちら!
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