広島県の南西部、瀬戸内海に面する呉(くれ)市。
人口は21万人と、広島県第3位の総数をほこります。
呉市公式キャラクターの「呉氏(くれし)」も人気ですよね!
そんな呉市ですが、「くれ」という独特のネーミングも気になるところ。そこで今回は「呉」の地名の由来を調べてみました。
呉(くれ)とは?
国土地理協会より画像引用
現在の呉市は島を含む大きなまちですが、合併する前は下のように9つの市町に分かれていました。
- 呉市(くれし)
- 安浦町(やすうらちょう)
- 川尻町(かわじりちょう)
- 下蒲刈町(しもかまがりちょう)
- 蒲刈町(かまがりちょう)
- 豊浜町(とよはまちょう)
- 豊町(ゆたかまち)
- 音戸町(おんどちょう)
- 倉橋町(くらはしちょう)
元々「呉」と呼ばれていたのは、大雑把に述べれば現在の呉駅あたりの港町になるようです。
呉の地名の由来説は主に3つ!
角川日本地名大辞典によると、呉の地名の由来は5つほどあります。
①造船に使う榑(くれ)の木が産出されたから
②呉にある9つの峰を「九嶺」と呼んだから
③朝鮮からの渡来人を「くれ人」と呼んだことから
④低湿地帯を「クレ」と呼んだことから
⑤崩落地形の「クラ」に由来する?
地形に由来する説も信憑性がありそうですが、①が有力視されているみたいです。上のうち2つを詳しくご紹介します。
①造船に使う榑(くれ)の木が産出されたから
呉は造船に使う榑(くれ)木に由来しているという説があります。辞書によると、「榑」とは切り出したまま、皮がついたままの材木のこと。手の皮が剥ける「ささくれ」の「くれ」もここから来ているのだとか。
その昔は呉駅から北上したあたりにある「灰ヶ峰(はいがみね)」という場所から木材(榑)を伐採し、川に流して海まで運んだのだそう。造船に使う前に木材を置いておいた場所が「呉浦」と呼ばれるようになり、のちに「呉町」となった説が有力だとされています。
「船木郷」は、安芸郡域の森林資源を育成・伐採し、造船用材である榑(くれ)の製材を生業とする山民を「編戸」して設定した「郷」であった。
ふるくから呉市西惣付にある小字「舟木」が船木郷の地に比定されているが(『芸藩通志』など)、みとめてよいと思う。
『呉の歴史』より引用
②呉にある9つの峰を「九嶺」と呼んだから
9つの峰に囲まれていることから「九嶺(きゅうれい)」と呼ばれ、のちに訛って「クレ」となった説もあります。
呉市の市章はこの説にあやかり、9つの「レ」を星型にかたどっているようです。
映画『この世界の片隅に』の中でも、主人公の夫である周作さんが呉の由来をそのように説明していました。
「呉」という地名の起源を、「呉」の文字から中国から来た渡来人と関係するとか、「クレ」の音から「九嶺」すなわち九つの嶺に囲まれているからだという語呂合わせ的な説はとるに足らず、むしろ造船用材の榑(くれ)の製材をおこなったところに由来するとみるべきであろう。
『呉の歴史』より引用
呉(くれ)の地名の由来まとめ
呉に来たタイミングで呉の地名の由来を調べてみました。
はっきりと確定しているわけではありませんが、個人的には榑木を集めて置いた場所から名付けられた説がしっくり来ました。
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