新居関所跡は徳川家康によって創設された関所のひとつです。日本三大関所のひとつであり、当時の関所建物が残る唯一の関所。
正式には「今切(いまぎれ)関所」といい、慶長5(1600)年に設置されました。
東海道の宿場町のひとつ「新居宿」の中にあります。新居宿を歩いた体験レポも別記事でご紹介しますが、今回は新居関所について詳しくご紹介します。
▼新居宿についてはこちらもチェック!
新居関所跡の基本情報
新居関所の入館料は400円ですが、せっかくなら近くの紀伊国屋資料館もあわせて訪れましょう。
所在地:静岡県湖西市新居町新居1227-5
休館日:月曜日(祝日の場合は振替なしで開館)、年末年始(12月26日~1月2日)、8月は無休
駐 車 場:33台(車椅子用2台、大型バス用2台含む、駐車料無料)
アクセス:JR新居町駅南口から西へ徒歩8分/東名高速浜松西IC・三ケ日ICより30分
関所・紀伊国屋共通券 | 新居関所のみ | 紀伊国屋資料館のみ | |
---|---|---|---|
大人 | 500円 | 400円 | 210円 |
小・中学生 | 200円 | 150円 | 100円 |
就学前 | 無料 | 無料 | 無料 |
▼新居関所跡のマップ
関所(せきしょ)とは?
関所とは交通の要衝に設置され、通る旅人の身分や荷物を検める役割を持っていました。江戸時代には「入鉄砲に出女」といって、江戸に持ち込まれる鉄砲と江戸から逃げようとする諸大名の妻を厳しく取り締まっていました。
江戸幕府は日本全国に53箇所の関所を設置しました。中でも新居関所は長野県木曽町の福島関所、神奈川県箱根町の箱根関所と並び、三大関所とも呼ばれています。
新居関所とは?なぜ湖西市に関所ができたのか
上の写真の手前には石垣がありますが、これは渡船場の復元です。江戸時代にはここまで浜名湖が来ていました。新居関所周辺は地震、津波、風水害などの被害が多いエリア。新居は三方を海に囲まれ、東海道のほぼ中間にあるために関所として重要な場所でした。
かつて新居宿と新居関所は現在地より東南方にありました。津波被害のために元禄14(1701)年に移転し、さらに宝永5(1708)年に現在の地に落ち着きました。一般的に宿場町は横長につくられることが多いのですが、新居宿は碁盤の目のように裏通りにも町屋が並んでいます。
▼学校として利用されることで取り壊しを免れた日本唯一の関所
明治時代には廃止された関所ですが、明治〜昭和時代には学校や町役場として利用されたことで当時の建物が壊されずに残っています。当時の建物が日本で唯一そのまま残る関所としての歴史的価値が高く評価され、大正10(1921)年に国の「史蹟」、昭和30(1955)年には改めて国から「特別史跡」に指定されました。
新居関所を見学しよう!
そんなわけで新居関所跡までやってきました。目の前に駐車場があります。チケットを購入して入館すると、3つの建物があるので順番に見て回りましょう。所要時間は30分〜1時間程度。
現在残っている「面番所」は嘉永7(1854)年の大地震で建て直されたものです。しかし小学校や役場として使われている中での改変や、台風・地震などによる損壊がありました。昭和46(1971)年に国の補助を得て大規模な解体修理が行われています。
新居関所「女改之長屋」
女改之長屋(おんなあらためのながや)は、関所を通過する女性を取り調べた「改女(あらためおんな)」とその家族が住居として使っていた長屋です。髪を解かせて髪型や、男性のふりをして関所を通過する女性を「改め婆」と呼ばれる女性がチェックしていました。ちなみに男性は名前を聞く程度で通ることが許されていたようです。
現在の建物は2020年に復元されたもの。とても綺麗ですね。
▼「入鉄炮に出女」とは?
大御門と高札場
新居関所の外側にまわると、大御門(おおごもん)と高札場(こうさつば)が見えます。どちらも復元です。平成27(2015)年に湖西市が復元しました。高さ5.8m、門扉の幅4.6m、奥行2.9m。
ちなみに関所の色が黒で統一されているのは、①関所の威厳を示し②防腐効果のため、黒色の渋墨が使用されていたといわれているそうです。
新居宿「新居関所跡」を見学しよう!まとめ
新居関所を見学した様子と見どころについてご紹介しました。
日本三大関所なだけあり、見どころもたくさんあり勉強になります。
▼静岡県のノミチ記事はこちら!
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