江戸時代に活躍した浮世絵師・歌川広重(うたがわひろしげ)の代表作である『東海道五十三次(とうかいどうごじゅうさんつぎ)』は、江戸と京都を結んだ街道「東海道」にある53の宿場町と起点の日本橋、終点の三条大橋合わせて55作に及ぶ連作です。
今回はそんな歌川広重の代表作『東海道五十三次』の詳細と、実際の浮世絵を一覧でご紹介します。
歌川広重(うたがわひろしげ)とは?
歌川広重とは、江戸時代に活躍した浮世絵師です。1797(寛政9)年に江戸の八重洲で生まれました。火消の下級武士の家に生まれ、13歳で家督を継いでからは安藤重右衛門と名を改めます。15歳で歌川豊広の門下に入り、翌年に自分と師匠の名から1文字ずつ取って歌川広重となりました。
『東海道五十三次』のほかにも『江戸名所』シリーズや花鳥画、歴史画、春画など総2万点以上の作品を描いたとされています。
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浮世絵『東海道五十三次』とは?
歌川広重『東海道五十三次』が描かれたのはいつ?
歌川広重の『東海道五十三次』が版行されたのは、1834(天保5)年、広重が37歳頃のこと。1832(天保3)年に公用で東海道を上った際に描き、翌年より発表したとされています。
最近では「歌川広重は京都に行っていないのでは?」という説も有力視されているよ!
歌川広重『東海道五十三次』の順番は?
『東海道五十三次』の順番は江戸・日本橋を起点として品川宿が1番、大津宿が53番、終点が京都・三条大橋となっています。
描かれている場所は幕府公認の宿泊施設のある「宿場町(しゅくばまち)」周辺。
歌川広重『東海道五十三次』に見える「ヒロシゲブルー」
歌川広重が『東海道五十三次』から使い始めた“青”はのちに「ヒロシゲブルー(ジャパンブルー)」と評され、海外でも高い人気を誇ります。
実はこの青は「ベルリン藍(ベロ藍)」と呼ばれており、ドイツ・ベルリンから輸入されてきた化学染料でした。今まで使われていた植物由来の染料とは違い色落ちもせず、安価で濃淡も付けやすいという利点があったのだそう。
浮世絵『東海道五十三次』を順番に解説!
起点:日本橋「朝之景」
1:品川宿「日之出」
2:川崎宿「六郷渡舟」
3:神奈川宿「台之景」
4:保土ヶ谷宿「新町橋」
5:戸塚宿「元町別道」
6:藤沢宿「遊行寺」
7:平塚宿「縄手道」
8:大磯宿「虎ヶ雨」
9:小田原宿「酒匂川」
10:箱根宿「湖水図」
11:三島宿「朝霧」
12:沼津宿「黄昏図」
13:原宿「朝之富士」
14:吉原宿「左富士」
15:蒲原宿「夜之雪」
16:由比宿「薩埵嶺」
17:興津宿「興津川」
18:江尻宿「三保遠望」
19:府中宿「安部川」
20:丸子宿「名物茶屋」
21:岡部宿「宇津之山」
22:藤枝宿「人馬継立」
23:嶋田宿「大井川駿岸」
24:金谷宿「大井川遠岸」
25:日坂宿「佐夜ノ中山」
26:掛川宿「秋葉山遠望」
27:袋井宿「出茶屋ノ図」
28:見附宿「天竜川図」
29:濱松宿「冬枯ノ図」
30:舞坂宿「今切真景」
31:新居宿「渡舟ノ図」
32:白須賀宿「汐見阪図」
33:二川宿「猿ヶ馬場」
34:吉田宿「豊川ノ橋」
35:御油宿「旅人留女」
36:赤坂宿「旅舎招婦ノ図」
37:藤川宿「棒鼻ノ図」
38:岡崎宿「矢矧之橋」
39:池鯉鮒宿「首夏馬市」
40:鳴海宿「名物有松絞」
41:宮宿「熱田神事」
42:桑名宿「七里渡口」
43:四日市宿「三重川」
44:石薬師宿「石薬師寺」
45:庄野宿「白雨」
46:亀山宿「雪晴」
47:関宿「本陣早立」
48:阪之下宿「筆捨嶺」
49:土山宿「春之雨」
50:水口宿「名物干瓢」
51:石部宿「目川ノ里」
52:草津宿「名物立場」
53:大津宿「走井茶店」
終点:京師「三條大橋」
歌川広重『東海道五十三次』まとめ
歌川広重の代表作である『東海道五十三次』の詳細をご紹介しました。
浮世絵を通して街道や宿場町の様子がうかがえます。
実際に行って見比べてみるのも面白いかもしれませんね。
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