栃木県佐野市にある「唐沢山城(からさわやまじょう)」は、標高約240メートルの唐沢山に築かれた山城です。
関東平野の北端を見渡すこの場所は、長い歴史の中で「境界」と「交通」を見守ってきました。
唐沢山城は続日本100名城にも選ばれており、城跡としての見どころはもちろん、周囲に広がる古道や街道とあわせて歩くことで、その魅力がより立体的に感じられる場所です。
本記事では、唐沢山城の歴史や立地の意味をたどりながら、御城印・御朱印についても紹介し、はじめて訪れる方にも無理なく楽しめる視点をまとめていきます。
続日本100名城にも指定されています。
唐沢山城とは?|関東屈指の山城

唐沢山城は、現在の栃木県佐野市に位置する山城です。
唐沢山城のはじまりは、平安時代中期までさかのぼるとされています。この地に館を構えたのは、下野国の有力武士であった藤原秀郷(ふじわらのひでさと)。10世紀前半、地域支配の拠点として唐沢山が選ばれたと伝えられています。
藤原秀郷は、のちに「百足退治」の伝説で語られる人物ですが、史実としては関東一帯に影響力を持つ武士でした。
唐沢山は周囲を一望できる高台にあり、当時の交通や人の動きを把握するのに適した場所だったと考えられます。
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なぜ“難攻不落”と呼ばれたのか

時代が下り、戦国時代に入ると、唐沢山城はより軍事色の強い城へと姿を変えていきます。関東では上杉氏や北条氏をはじめとする勢力が対立し、この地域も緊張が続いていました。
唐沢山城は、険しい地形と堅固な構造を活かした山城として知られ、攻めにくい城のひとつとされています。
いくつもの合戦を経ながらも、簡単には落城しなかったことから、この城の立地と構えがいかに理にかなっていたかが伝わってきます。
唐沢山城の歴史|佐野氏と戦国大名たち
鎌倉時代から戦国時代にかけて、唐沢山城は佐野氏の本拠として機能しました。関東北部の要衝として、政治・軍事の両面で重要な役割を果たしていた城です。
戦国時代になると、唐沢山城は大名同士の争いの舞台となります。特に知られているのが、上杉謙信の関東出兵の際に、この城が利用されたこと。謙信が入城したという史実は、唐沢山城の軍事的重要性を今に伝えています。
唐沢山城は、北条氏・武田氏といった有力戦国大名の勢力争いの中でも翻弄され、城主が変わるなど、波乱の歴史をたどりました。そのたびに守り抜かれたことが、この城が「攻めにくい城」と恐れられた理由でもあります。
唐沢山城の見どころ
本丸・曲輪群

城跡を歩くと、山頂部に広がる本丸や曲輪の配置がよくわかります。段差を活かした縄張りは、実際に歩くことで城の広さと防御思想を体感できます。
本丸西虎口石垣は

唐沢山城の大きな特徴のひとつが石垣です。
大きな鏡石を惜しみなく使っているところが特徴ですが、あいにくと現在はブルーシートにおおわれてみることができませんでした。
山頂からの眺望

本丸周辺からは、関東平野が一望できます。
御城印・御朱印情報|唐沢山城の記念アイテム
唐沢山城では、城跡ならではの御城印と、唐沢山神社の御朱印の両方をいただくことができます。めちゃくちゃ種類が多くて期間限定ものも多いので、御朱印好きにはたまらない場所かもしれません。
冬のライトアップ記念限定透明御城印

- 名称:冬のライトアップ記念限定透明御城印
- 価格:1,000円
- 意匠:秀郷公勝利の弓張り月
- 特徴:透明素材を活かしたデザイン
この御城印は、唐沢山城の冬季ライトアップを記念して頒布された限定御城印です。
透明な素材に描かれた「弓張り月」は、唐沢山神社に祀られる藤原秀郷(秀郷公)の勝利を象徴する図柄として知られています。
限定例大祭「秀郷公の金のムカデ退治」御朱印

- 名称:限定例大祭「秀郷公の金のムカデ退治」御朱印
- 価格:1,200円
- 仕様:金色の横長デザイン
こちらは、唐沢山神社の例大祭にあわせて授与された限定御朱印です。藤原秀郷公の伝説として知られる「ムカデ退治」をモチーフに、金色を基調とした横長の迫力ある意匠が特徴的。
唐沢山城と信仰|唐沢山神社
唐沢山城跡には、唐沢山神社が鎮座しています。この神社は、佐野氏の祖である藤原秀郷を祀っており、城と信仰が深く結びついていたことを今に伝えています。
城跡でありながら、現在も信仰の場として大切にされている点は、唐沢山城ならではの特徴です。
歩いて楽しい唐沢山城|猫とグルメの魅力
猫がたくさんいる城跡

唐沢山城跡を訪れると、まず驚くのが猫の多さ。境内や城跡周辺には多くの猫が暮らしており、訪れる人を和ませてくれます。
猫用の餌は現地で購入でき、価格は100円〜。ただし、追いかけたり無理に触ったりせず、マナーを守って見守るようにしましょう。
唐沢山レストハウス名物「難攻不落の唐沢山城 最強カレー」

登城後の楽しみとしておすすめなのが、唐沢山レストハウス。ここで味わえるのが、その名も「難攻不落の唐沢山城 最強カレー」(1,500円)。
ユニークなネーミングと食べ応えのある一皿で、城歩きの後の空腹をしっかり満たしてくれます。
佐野名物・イモフライも外せない
もう一つの名物が、佐野名物のイモフライ。価格は200円ほどと手頃で、サクサク衣とホクホクのじゃがいもが相性抜群。軽食として気軽に味わえる、ご当地ならではの一品です。
わたしは初めて食べたのですが、かなりおいしくてハマってしまいました。また食べに行きたい。
アクセス・基本情報
- JR・東武「佐野駅」から車でアクセス可能
- 駐車場あり(山頂付近)
城跡の散策と食事を含めて、1〜2時間程度が目安です。
まとめ|唐沢山城は“硬派とゆるさ”が同居する山城

唐沢山城は、上杉謙信も関わった本格的な難攻不落の山城でありながら、猫に癒され、カレーやイモフライを味わえる、どこか肩の力が抜けた城跡でもあります。
歴史好きはもちろん、城初心者や散策目的の人にもおすすめできる一城。「戦国の緊張感」と「現在の穏やかな空気」の両方を味わえる、そんな唐沢山城をぜひ訪れてみてください。
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