街道だけでなく、街を歩いていてもよく見かける「庚申塔(こうしんとう)」。
文字だけのもの(文字塔)、石祠のもの、青面金剛や帝釈天の像が描かれているもの(刻像塔)などさまざまな種類があります。
これだけ多くの庚申塔が残っていることからも、信仰の深さや長さがうかがえますよね。
そこで今回はまち歩きの参考になる「庚申塔とは?」について記事にしました。
庚申塔ってどういう意味?どんな特徴があるの?をまとめてみたよ!
庚申塔(こうしんとう)とは?
庚申塔(こうしんとう)とは、庚申の日に行われる行事(庚申会、庚申待、庚申講などと呼ぶ)のためにつくられた石塔や石碑のことです。
庚申とは?60日に1度ある「庚申(かのえさる)」の日
庚申とは、干支にあてはめた言葉で、甲子(きのえね)から始まって癸亥(みずのとい)で終わる、60日に一度めぐってくる「庚申(かのえさる)」の日のこと。
庚申塔の意味は?長生きするために徹夜をする日
中国の道教の思想では、人の身体の中には三尸(さんし)と呼ばれる虫がいて、庚申の夜になると体内を抜け出して天帝にその人の罪を有る事無い事吹き込んで短命にするのだといわれていました。
天帝とは「天の星」、つまり北斗七星のことです。
庚申の夜の風習は平安時代初期には日本に伝来し、貴族の間で夜通し詩歌管弦をたしなむ、いわゆる「庚申御遊び」なども行われるようになりました。
庚申の夜に何をするの?
三尸が身体から抜け出すのを防ぐには、寝ないこと!ということで、庚申の夜は身を謹んで徹夜をする信仰が生まれたのだそう。
時代を経るにつれて仏教の毛色が濃くなっていきました。
庚申の夜には経文や真言を唱え、酒を飲んで雑談したりして、徹夜していました。
庚申塔は何のため?
庚申塔で造立され始めたのは室町中期頃から。
庚申塔をたてる目的はさまざまありますが、信仰心の強い庶民たちの永代供養や所願成就を願ったと考えられています。
庚申塔の特徴
庚申塔にはさまざまなスタイルがありますが、手元の写真を元に特徴をまとめてみました。
石造物の大きさや石工さんの技術などによって、細部の表現がなかったりいくつか端折られているものがあったりします。
庚申塔にいるもの
向かって右側に「日」、左側に「月」
青面金剛(憤怒の表情)
三猿(見ざる、言わざる、聞かざる)
ニワトリ
邪鬼
青面金剛の持っているもの
輪宝
弓
矢
鉾(ほこ)
宝剣
独鈷
ご本尊は青面金剛や帝釈天、猿田彦命など
長野県で庚申塔を見ていると、真ん中には「青面金剛」がいることが多いように感じます。
これは青面金剛が病魔を退散させる威力を持っていることから、三尸を押さえる神として信仰されたため。
猿田彦命はサルつながりでお祀りされたといわれており、下に描かれる「三猿」と同じような由来。
また東京都葛飾区の「柴又帝釈天」の縁日が庚申の日であると聞き調べてみたところ、行方不明になっていたご本尊の帝釈天像が1779(安永8)年の庚申の日に発見されたことに由来しているのだそう。
庚申塔ギャラリー
庚申塔は描くものがたくさんあって複雑なため、石造物では端折られているものも少なくありません。
青面金剛の手は6本ですが、4本に端折られているものも多い気がする。
三猿の上にいる邪鬼も端折られていることが多いです。
みんな怒った顔をしているのにとってもかわいいですね!
▼歴史用語解説のノミチ記事はこちら
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