スリランカにある8つの世界遺産のうちのひとつ「シーギリヤロック」。
巨大な岩山の上に築かれた古代の王宮跡で、「空中の宮殿」とも称されるこの遺跡は、世界中の旅行者を魅了しています。今回は、この神秘の地を「日の出とともに登る」早朝登山に挑戦してきました。
静寂のなかで感じる神聖な空気、徐々に赤く染まる空、そして頂上からの絶景…。まさに人生で一度は訪れたいスポットです。この記事では、実際の登山体験をもとに、シーギリヤロックの魅力と早朝登山のおすすめポイントをご紹介します。
世界遺産「シーギリヤロック」とは?

シーギリヤロックは、スリランカの世界遺産の中でも特に人気のある観光地です。
標高はおよそ370m、地上から180mほどそびえる一枚岩で、その頂上に5世紀のスリランカ王・カッサパ1世によって王宮が築かれました。
この岩山はかつて、外敵から守るための要塞であり、同時に贅を尽くした宮殿でもありました。現在では遺構として、王宮跡、貯水池、壁画、庭園などが残されており、その保存状態と芸術性から1982年にユネスコ世界遺産に登録されました。
中でも有名なのが、途中にある「ミラーウォール」と呼ばれる磨き上げられた石壁、そして岩肌に描かれた神秘的な女性たち「シーギリヤ・レディ」。これらは王の美意識と、当時の高度な文化レベルを今に伝える貴重な遺産です。
日の出を見るため、朝5時から登山スタート!

シーギリヤロックへの登山は通常、午前7時以降に始める観光客が多いですが、今回は「日の出を見る」ために、朝5時に登山口へ向かいました。まだ真っ暗な空の下、鳥のさえずりだけが聞こえる静かな空間。街灯も少なく、懐中電灯は必携です。

暗闇のなかを歩くのは少し緊張しましたが、そのぶん神秘的な雰囲気が漂います。次第に空がうっすらと明るくなり、空気も清らかで心が引き締まる感覚。登山というよりは、儀式に向かうような、特別な時間が流れていました。
朝早く登るメリットは以下の通りです:
- 涼しい気温で快適に登れる
- 観光客が少なく静かに景観を楽しめる
- 朝日とともに絶景が広がる
- 日中の強い日差しを避けられる
個人旅行の方も、ガイドツアーの方も、早朝登山は非常におすすめです。
約30分で登頂!幻想的なパノラマが待っていた

登山道はよく整備されており、体力に自信がない方でも安心して登れます。最初は緩やかな階段や舗装路が続き、やがて鉄製の螺旋階段や岩肌の道に変わります。
さらに進むと、巨大なライオンの前足だけが残る「ライオンゲート」が姿を現します。かつては岩の中腹にライオンの頭があり、その口をくぐって頂上へ登る構造だったそうです。今でもこのライオンの足は圧倒的な存在感で、記念写真スポットとしても人気です。

そして、頂上に到着するのにかかった時間はわずか30分ほど。登山初心者でも安心の距離です。

道中の猿がスマホや食べ物を狙っているので注意して!
シーギリヤロック山頂!日の出を待つ

頂上から見下ろす360度のパノラマは、息を呑むほどの絶景。

緑のジャングルが朝日に照らされ、霧がかかった地平線が幻想的な雰囲気を醸し出します。静寂の中、朝日がゆっくりと昇る瞬間は、言葉では表現しきれないほど感動的でした。

シーギリヤ・レディと対面(撮影禁止)

登山途中には、岩肌に描かれたフレスコ画「シーギリヤ・レディ」があります。鮮やかな色彩で描かれた美女たちは、カッサパ王の理想とされる女性像であり、また宗教的意味合いも含まれているといわれます。
途中には「ミラーウォール(鏡の壁)」があり、かつて訪れた人々が詩を書き残したとされる場所。その滑らかな表面には、当時の栄華が今も映し出されているようです。
この壁画は約1,500年も前のものとは思えないほど保存状態が良く、現在でも十数体の女性像が残っています。ただし、文化財保護のため撮影は禁止。ここは静かに、目と心で鑑賞する時間です。
写真が撮れないぶん、実際に目の前で見たときの感動が何倍にもなります。絵画の細やかさ、表情の柔らかさ、色彩の美しさは一見の価値ありです。
まとめ:早朝のシーギリヤ登山は一生の思い出になる
世界遺産「シーギリヤロック」を早朝に登る体験は、ただの観光ではなく、まるで時を超えた旅のような感覚でした。静かな朝の空気、神秘的な遺構、そして頂上からの絶景…。そのすべてが心に残るものでした。
30分ほどで登れる手軽さもあり、体力に自信がない方でも気軽に挑戦できます。特に日の出の時間帯は、光と影が作る幻想的な風景を味わえる特別な瞬間です。
スリランカを訪れる予定がある方は、ぜひシーギリヤロックの早朝登山を旅程に加えてみてください。心が洗われるような感動体験が、きっとあなたを待っています。