一里塚(いちりづか)とは、室町時代や江戸時代に整備された主要な街道沿いに建てられた塚。
確かな地図がなかった当時、一里塚は重要な役割を果たしていました。
一里塚とは何かについて、目的や役割と一緒にご紹介します。
▼街道に便利な用語集はこちら!
一里塚とは?
確かな地図がなかった当時、旅人たちの道標となったのが「一里塚」です。
一里とは、3.927キロ(約4キロ弱)のことだよ!
ただし寺社や非人の居住地は距離に含まれず、難所は概算だったため、「一里」の距離はまちまちだったとか。
一里塚の歴史は古く、平安時代末期に奥州藤原氏が白河の関〜陸奥湾の間に標識を立てたのが最初だといわれています。
江戸時代になると幕府が「五街道」を整備しました。
その街道沿いに、一里ごとに設けられたのが一里塚です。道路の両脇に土が盛られ、その上に榎や松の木が1〜数本植えられました。
今でも松並木が残っていることがありますが、ほとんどは明治期までに荒廃していきました。
一里塚の目的は?
①距離を把握するため
1つ目の目的は距離を把握すること。旅人が歩いている時、一里ごとに標があればどれだけ歩いたか、どこまで歩くかの目安にすることができます。
②休憩場所にするため
2つ目の目的は休憩場所にすること。
並木は木陰にもなるため、旅人が休憩するのにうってつけの場所になるのです。
③運賃を把握するため
3つ目の目的は運賃を把握すること。
馬や駕籠(カゴ)を使って人や荷物を運ぶ際、一里ごとに運賃が定められていました。そのため一里塚は運賃を把握する役割も果たしていたのです。
一里塚のことわざや例え
門松は冥土の旅の一里塚|一休の狂歌
室町時代の一休の狂歌に「門松は冥土の旅の一里塚 めでたくもありめでたくもなし」というものがあります。
人生を旅に例えたとき、年を重ねる度に飾る門松を一里塚に例えています。めでたい門松ではあるけれど、死へ向かっていると考えるとめでたくないともいえますよね。
一里塚とは?まとめ
一里塚とは?をご紹介しました。
たまに街道沿いに見かける「一里塚」の看板や松並木ですが、その役割を知っていると昔の旅人気分が味わえるかもしれませんね。
▼ノミチ用語解説記事
- 歴史・文化
古典『竹取物語』の冒頭文(現代語訳付き)とあらすじを分かりやすく
月からやってきた“かぐや姫”が主人公の『竹取物語(たけとりものがたり)』。 中学生の教科書にも掲載されており、冒頭文を覚えている方も多いのではないでしょうか。 わたしが最初に覚えた冒頭文であり、いちばん大好きな古典作品で […] - 歴史・文化
高校生にもおすすめ!古典の名作読むべき10作品を解説付きでご紹介
教養として覚えておきたい、暗記していて損はない名作古典をご紹介します! 今回は平安時代〜鎌倉時代に絞ってみましたが、江戸時代の名作・『おくのほそ道』や『更科紀行』などについては下の記事もおすすめ! 竹取物語|日本最古のS […] - 歴史・文化
奈良時代版の公共施設「国分寺」とは?小学生でも分かるように解説!
古代の街道や地名に、「国分寺(こくぶんじ)」を見かけることはありませんか? 例えば東京都国分寺市は、武蔵国分寺があった場所です。 今回はそんな「国分寺」がいつ、誰が、何のためにつくったのかを分かりやすくご紹介します。 ▼ […] - 歴史・文化
徹夜しないと寿命が縮む⁈「庚申塔(こうしんとう)」の意味と歴史を分かりやすく
街道だけでなく、街を歩いていてもよく見かける「庚申塔(こうしんとう)」。 文字だけのもの(文字塔)、石祠のもの、青面金剛や帝釈天の像が描かれているもの(刻像塔)などさまざまな種類があります。 これだけ多くの庚申塔が残って […] - 歴史・文化
四国遍路(しこくへんろ)とは?「四国八十八ヶ所霊場」一覧とマップで分かりやすく解説!
四国四県にまたがる信仰の道「四国遍路(しこくへんろ)」をご存知ですか? 讃岐国(現香川県)出身の弘法大師(空海)がゆかりの八十八ヶ所の寺院を選んで開いた「四国霊場」を巡礼することを「四国遍路(お遍路)」と呼びます。 今回 […] - 歴史・文化
甲州街道とは?宿場町一覧とルートマップで詳しく解説!
江戸(現東京都)と甲州(現山梨県)を結ぶ甲州街道(こうしゅうかいどう)は、江戸時代に整備された五街道のひとつです。 今回は甲州街道とは?をテーマに、宿場町一覧やルートマップを用いて詳しくご紹介します。 ▼五街道の詳細はこ […]